エレベーターには開くボタンも閉じるボタンもいらない

だーかーらー、もともとダメなものをキレイにしたってダメなんだって。21世紀のエレベーターに開くボタンも閉じるボタンもいらないんだよ!
これがUXデザインや!

ん、エレベーターの外の階数表示?と思うかも知れませんがコレ、カゴの中のボタンです。
以下を読む前に、この図が示すのがどういう状況か、考えて見て下さい。

課題の認識

まず解決すべき課題、要求として、エレベーターには閉じるボタンや開くボタンが必要なのではなく、すぐに閉じる機能や開いておく機能が必要なのです。まずはそもそもその機能が必要なのか、どう使われるのかという所から考えてみよう。
人が出入りするときに開けておく機能は欲しい。特に日本ではエレベーターに乗り降りするときに目下の者がドアを開いておくのが礼儀だという風習があるのでこの機能は外せないw。UXを考えるとき、こうした文化的背景を考慮に入れておく。

閉じる系の機能に関しては2つの課題があると思う。

  1. 自発的なアクションができない
  2. 待たされる時間がわからない

うちのオフィスのビルのエレベーターは、閉じるボタンを押してから2秒くらいたってから「ドアが締まります」って言ってから締まります。相当な確率で閉じるボタンを2度押す人がいます。この手のユーザは、自分の意図でコントロールをしたいって要求があるんですよね。自発的に閉じる機能を提供することでせっかちユーザに満足感を与える必要がある。
また、そこまでせっかちじゃないユーザにとっては待ち時間が短い長いが自体よりも、どれだけ待たされるかわからないのがイライラの原因なので、待ち時間の表示はすべきだろう。

では上のイメージの説明をします。

「開く」機能

開くボタンはいらないです。3Fにいるときに3Fを押せば開きます停止階のボタンが大きく表示されているのでとっさの時でも目につきます。これはボタン表面がこの大きさを含むことができるディスプレイになっていて、他の階は余白をとれば実現できます。

待ち時間もここに表示します。最近は信号機の多くに待ち時間が表示されているのでそれと同じイメージでいいんじゃないかな。ここは最初の提案レベルなのでちょっと攻めたUIにして、今いる階でタイマー風に待ち時間表示。

「閉じる」機能

閉じるボタンもいらない。せっかちユーザに満足感を与えるためにはアクションを増やせばいいので、行き先階をダブルクリックするとタイマーがぱっと進んですぐに締まります。アクションを増やすという意味では閉じるは別ボタンもアリだと思いますが、スッキリさせるためにダブルクリックを提案します。誰にでも分かる方法じゃないけど、必須機能じゃないので知りたい人だけ知っていればいい。ちなみに長押しでキャンセルねw

ついでに上下どっちに進んでいるか表示もいらない。進まない方向の階はグレーアウト。これから停止する階は黄色く光らせます。この図の場合は上に行くエレベーターで今3Fにいて、 4Fを飛ばして5Fに止まります。

図を見た瞬間のイメージと、実際の操作イメージにズレはありましたか?

UX改善のアプローチ

ボタンがいっぱいあったり、操作とそれに対する表示が離れてたりすると認識しづらいんですよね。こうすれば必要最低限。視線の移動もほとんどない。

今いっぱいボタンがあったり表示位置がずれているのは、技術的な制限なんですよ。昔はボタンにディスプレイ使うなんて考えられなかった。でも今はそんなのタダみたいなもの。ボタン表示の大きさを変えるとか、PCとかスマホならよくある話。

もちろんこれはかなりざっくりした案ですが、「閉じる」「開く」ボタンの見た目を変えるのとはかなりアプローチが違うのがわかると思います。実際には、階数とか時間帯による混み具合とかの使用状況やその他さまざまな要素を考慮にいれて設計することになります。ちなみに色や形はかなり適当なので、この線で行くことが決まればその後はビジュアルデザイナーの出番になります。

「開く」「閉じる」ボタンが使いづらいからといってそこだけを見るのではなく、全体を見て改善する。これが本当のUXデザインや!