動画で振り返るFourBeatのプロモーション戦略

これまで公開したプロモーション動画に沿って、FourBeatのコンセプトとその伝え方についておさらいしていく。試行錯誤の歴史でもあるので参考にしていただけることもあると思う。


FourBeatは、あらゆる機能がスマホタブレットに集約している昨今の流れの中で、物理的にモノに触れる喜びを提供する汎用デバイスとして制作を開始した。最初はAPIを提供すると言えばいろんなことに使えると、AndroidiPhoneまたWebAPIを使ったマッシュアップサービスを作った人であればわかるだろう、くらいに思っていた。

ところが、Cerevo Dashでの公開前にFourBeatを見た人の反応は開発者も含めほぼ「これでなに出来るの?」というものだった。人は具体例がないとその先の想像ができないのだ。そう実感し、PVでは具体例を示すことにした。いくつかの選択肢の中で選んだのはクイズのシーン。

「なんでもできます」に比べれば反応は良かった。具体的な使用例があるので開発センスのある人は「これならこういうこともできるな」という感想を持っただろう。ところが、多くの反応はこうだ「クイズきょうみないわー」「ホームパーティーとかやらないわー」。

最初から色んなパターンを示す、というのも考えとしてはあったのだが、それよりかは一つの動画では1アプリに絞って、次の動画で広がりを見せようと思っていた。

クイズとはうってかわって一人で遊ぶもの。みんなでわいわい、ではなくひたすら一人でただだた音を鳴らす。ポップなイメージもガラッと変えてハードロックな感じに。0が1になり、1が2になったのならばあとは100でも1000でも出来ることは証明出来るだろう。ただ、この動画は一本目よりも圧倒的に露出が少なく、クイズ端末という印象を覆すにはいたらなかった。


これ以降、FourBeatについての情報を表に出すことをやめた。FourBeatの良さはモノの持つ魅力、触ったときの感覚、その場で複数人数で遊んだときの楽しさなど、体験が必要だと思ったからだ。それを伝えるような情報を文字や写真、動画で伝えるのは難しいと判断したからだ。

試作品(ソフト的に言えばRCくらいの段階)ができた時、自分の中ではFourBeatへの自信が確信に変わり、すぐにでも公表したかったのだが、そこはグッと堪えて実物を直接触るか、それが確実に伝わる方法が準備出来るまでは我慢することにした。

そうして出来たのがこのPVだ。

機能とか技術的な背景を一切なくした。「なにが出来るかわからない」という人はいるだろう。そんなことはどうでもいいんだ。FourBeatにとってなにが出来るかは問題ではなく、それを使うことによってなにが起こるかが重要なのだから。

FourBeatのコンセプト

Kinnect、Leap Motionのようなデバイスが話題になっている。それらを使えば映画でみたあのシーンが実現出来るかもしれない。未来がついにやってきたのだ、そう感じるかも知れない。

ただし、それは現実ではない。それはいつか来る「未来」ではなく、宙に浮いた「未来感」なのだ。未来感は現実と相容れない。現実の世界では、未来は現在と連続しており、現実が変われば、未来は必然的に変化していく。

このプロモーション動画に映しだされたものは紛れもない現実だ。デジカメで撮った映像を切り貼りしただけで、ほとんど編集もしていない。たった4つのスイッチ。たった4bitの情報量のFourBeatは現実世界でこのように機能する。

その先には未来が広がっている。FourBeatの奏でるリズムは、未来の鼓動なのだ。