3年目の本気

9/1でピグマルを設立してから3年目を迎えた。

2年前に書いたのがこれ。
http://d.hatena.ne.jp/itog/20111003/1317611318

この頃はまだReplicatorはなくてレーザーカッターを使ってる人も少なかったけど、いろいろ環境が整ってきたとヒシヒシと感じていた。この時書いた「個人や中小企業が家電をつくる時代」は今実現しつつあり、実際にプロダクトアウトしている。有名どころだとBsizeのstroke。そして、FourBeatもそうだ。Bsizeさんもピグマルも、自己資金数百万円で創業しているメーカーだ。ほんの数年前には考えられなかったことだろう。

去年書いたのはこれ
http://d.hatena.ne.jp/itog/20121001/1349077348

このあと書籍「Makers」がヒットして、ハードウェアベンチャーがメディアに取り上げられるようになった。ピグマルもその一つとして取り上げて頂くこともあった。これは初年度のプレゼンスを高めるという活動の成果だとも言える。しかしそうしてメディアに取り上げられるたびに、なんの製品も出していない事実に虚しさを感じざるを得なかった。

幸いこの春FourBeatが完成し、メーカーとしての実力を示すことは出来た。ただ、まだビジネスが回っていない。今はまだ自分が稼いで自分で使っているだけで、それでは法人化をした意味がない。属人性をなくそうとは思わないが、自分がいなくても継続出来る仕組みを作らなければ、それは組織ではない。

組織をつくる

法人化した当初より組織化することは意識し続けていたのだが、思い返してみれば目指すべき形が見えてなかった。思い描けもしないものは作れない、モノづくりも組織づくりも同じことだ。

今月より新メンバー二人にジョインしてもらうことになった。一人はプログラマー。もう一人はバックオフィスを担当してもらう。バックオフィスを担当する小野さんは5歳と2歳の二人の子供を持つ主婦だ。子供を預けていられる時間には限りがあり、当然フルタイムではない。

私個人は仕事人間で一日26時間くらいは仕事を出来る。これは自分が特別、いや、今の自分が特別なだけであり、将来の自分も含めてそれ以外の人に同じものを期待してはいけない。ただ私がそう言ったところで、それを真に受ける人はいない。私と働くということは、私と同じように働くことなのだと思ってしまうのだ。それは目指すべき組織の形ではない。だからといって、私のスタイルを今すぐ変えるわけにはいかない。

そこで、小野さんの力が必要になる。対極と言ってもいいほどかけ離れた生活スタイルの私と彼女がいれば、大抵の人はその間に入ることができるだろう。もちろん簡単にうまくいくとは思っていない。これは彼女にとっても弊社にとっても大きな挑戦なのだ。

2013-2014シーズンの目標

スタートアップの賞味期限はだいたい3年。それまでに継続可能かつスケール可能なビジネスモデルを確立するのが至上命題だ。ましてやウチはサークル活動の延長やバンド感覚でやっているような若者ベンチャーではなく、仲間内で楽しくやって失敗してもそれはいい経験、などと言ってられる立場ではない。実績を残せなければ次はなく、淘汰されるだけだ。

まず、ローンチしたFourBeatを軌道に乗せる。具体的には1000台売り上げる。1000台というのを少ないと思う人もいるだろう。大きな投資を受けて始めたのであればこんな目標では話にならない。ただし我々の様な小さな会社にとっては十分大きな数字だ。今一大ブームを巻き起こしているロボット「ラピロ ( http://www.rapiro.com/ )」がkickstarterで世界に向けて出して300台程だということを考えれば1000という数字の大きさが分かるだろう。

そして次の製品を世に出す。ここまでできれば継続的でスケール可能なことを示したと言えるだろう。

2周年といっても特になにがあるわけではない。でも、この2つの目標を達成できたら、来年はパーティーとかやりたい。スタートアップはそれで卒業だ。