ドライパーカー

薄汚れたユニクロのドライパーカー。

記憶が曖昧だけど、たしか2008年にアフリカを旅する前に購入したものだと思う。軽くて小さく、手軽に洗えてすぐ乾き、アウトドアや移動の多い旅ではものすごく重宝する。

これを着てどこへでも行った。
アフリカ、アジア、南米、そして海へ山へ。

暑い国では強い日差し、埃や砂から肌を守ってくれる。飛行機や長距離バスでエアコンが効きすぎているときは寒さから身を守ってくれる。寒い国でも重ね着に使ったり、寝間着として使ったり。海から上がれば体を温めてくれて、山では虫や木々の枝葉から身を守ってくれた。

相当に色落ちし、生地も磨り減り、おそらく当初の機能はないかもしれないし、都内でこれを着て歩いていたら薄汚いなって思われるだろう。

移り変わりの激しい時代で、古いものはどんどん新しいものに置き換わっていく。より高性能、高機能なモノ、刺激的なモノへ。だが、そうした刺激はやがて薄れ、新しい刺激に上書きされていく。

静かにさり気なく、しかし気が付くといつもそこにある、本当に必要なモノは、本当に大切なモノとはそんなものなんじゃないだろうか。

私はITが好きだし得意だし信じている。

だけどこの業界はあまりに刺激が強く、移ろいやすい。新しい技術にキャッチアップすることを止めてしまってはここでは生き残れないが、それでも、刺激に惑わされずに自分が纏い続けてきたものを大切にしていきたい。

そんなことを考えた、2013年末。